総合技術監理部門 記述式問題の勉強方法

総合技術監理部門の筆記試験で合否を分けるのは、記述式問題です。

択一式問題については『総合技術監理部門キーワード集』が用意されているため、勉強の手掛かりはあらかじめ用意されている状況です。

しかし、一方の記述式問題は、後述するように極めて難易度が高く、何の対策もせずに筆記試験に臨んでしまうと、答案用紙を解答文で埋めることすら困難になると思われます。

このページでは、こうした総合技術監理部門の記述式問題に関して、具体的な出題例とその解答文作成の考え方のほか、記述式問題対策の実践的な勉強方法について解説します。

​1 総合技術監理部門  記述式問題の概要

総合技術監理部門  記述式問題の概要

総合技術監理部門の筆記試験は、例年7月中旬の土曜日、午前中に択一式問題、そして午後に記述式問題が実施されます。

このうち記述式問題については、難問化、すなわち長い設問文と問題の複雑化が定着しており、多くの受験者を悩ませています。

​1-1 記述式問題の概要

この総合技術監理部門の過去問題は日本技術士会のホームページに掲載されていますが、いずれの年の問題も設問文が長く、解答する上での細かな条件がやたら多いのがわかります。

答案も500字詰め答案用紙6枚の、合計3000字にも及ぶ膨大な量となっています。
技術士の新技術部門として総合技術監理部門が創設された当初は、筆記試験としていわゆる経験論文に類した記述式問題が出題されていました。
その後、幾度かの出題傾向の変化を経て、現在、このような長文で複雑な問題を課する状況が定着しつつあります。

​1-2 記述式問題の出題傾向

令和3年度は「データの利活用」、令和2年度は「ヒューマンエラー」、令和元年度は「将来の自然災害のリスク」、平成30年度は「働き方改革」といったように、各年度で主題となるものは全く異なります。

2 記述式問題 答案作成の基本的な手順

記述式問題 答案作成の基本的な考え方

​2-1 手順1:記述式問題は難解で当然とアタマを割り切る

前述のように、難問化している記述式問題ですが、そのことについてはあまり心配する必要はありません。
なぜなら、難しい問題に直面するのは、総合技術監理部門の受験者であれば誰しも同じだからです。
問題用紙を開いて長文問題を一瞥して溜息をつくのは、あなただけではなく、すべての受験者がそうなのです。
ただ、あなたはその溜息の必要すらないかもしれません。
なぜなら、あなたはこの講座でそのような難しい問題への対処法を知ることになるからです。
総合技術監理部門にふさわしい難しいテーマであればあるほど、その対処法を知らない他の受験者と比べて、あなたはかなり有利になるのです。
むしろ、誰しもが取り組みやすい簡単な出題になって、あなたの実力の発現がはばまれることをむしろ心配すべきと言えるでしょう。

総監筆記試験の記述式問題では、設問文を見て、誰でもパニックに陥ります。
しかし、あなたには確かなアドバンテージがあるのですから、ある意味、“落ち着いて”パニックに陥り、そしてそこからしっかりと立ち上がってくることができるのです。

 

ともかく、大事なことは、どんな問題が出ても、動じないことです。
動じないためには、そもそもその総合技術監理部門の試験で、試験官が我々の何を見極めようとしているのかについて、あなた自身の十分な理解が必須です。
そして、そのための訓練をたくさん積んでおくのです。
すると、その訓練をしたという実績が、あなたに自信という最高の切り札を授けてくれるのです。
これさえあれば、怖いものは何もありません。

​2-2 手順2:設問文から題意を的確に読み取る

試験開始当初はあなたもそのようにパニックには陥るのですが、いつまでもそのパニックに浸っているわけにはいきません。
まず、総合技術監理部門に特有の長文で複雑な設問文を、ひとつひとつ丁寧に読み解いていかなくてはなりません。
いったいこの問題は、あなたに何を、どのように答えさせようとしているのか。
総合技術監理部門の記述式とはいえ、試験問題として採点のポイントはあるわけです。
そのポイントを踏んだ答案でなくては、いくら力作のものを書き上げたところで、得点はできません。そうではなく、的確にポイントを踏まえた答案を端的に記載しておくことで、はじめて得点を稼ぐことが可能になるのです。

​このように、的確にポイントを踏まえた答案を端的に記載した場合、文章はおのずと引き締まったものとなります。
答案の文章量が需要なのではない、という意識を持ちましょう。
総合技術監理部門筆記試験の記述式問題においては、いかに題意、すなわち答案作成上のポイントを的確に拾い上げたかが、得点の多寡に直結するのです。

といっても、答案のポイントを把握することは、本質的にはさほど難しくはありません。
なぜなら、長文の設問文の中に、必ずポイントは明示されているからです。
設問文を二度、三度と丁寧に読んでいくことで、それこそ、一言一句、漏れなく辿っていくように熟読することで、それはおのずと明らかになってくるのです。

 

総合技術監理部門の記述式問題は、例年、ある業務上の問題について総合技術監理の観点からの解決方法を述べさせる内容になっています。
当然、答案も長文になってしまいます。
このとき、解答法を何も規定せずに自由な解答法を許していては、答案の姿が受験者間でバラバラになってしまい、採点が非常に難しくなります。
したがって、例年、総合技術監理部門のこの長文の記述式問題には、必ず細かな答案作成上の制約条件が付されています。
答案のメインストーリーは先ほど申し上げた問題解決の考え方そのものです。
したがって、その内容を、問題で課される微細な条件に一つ一つ適合する形で答案形式にまとめていけば、合格答案を作成できるのです。
このように、いかに細かな題意までくみ取れるかが、高得点を稼ぐための前提条件になるのです。
以上述べたことは、総合技術監理部門筆記試験の記述式問題で6割以上の得点を稼ぐためには、きわめて大切な作業です。

​2-3 手順3:答案の構成を整える

総合技術監理部門の筆記試験の最中、あなたの周りの受験者は、あなたがポイントを拾っている最中から、もうカリカリと答案用紙に書き込んでいっているかもしれません。
少々焦ってくるところでもありますが、あなたが答案文章を書き綴っていくのはまだ先の作業です。
まだやるべき下処理があるのです。
なぜなら、まだ段階としては、あなたが答えるべき点が明らかになっただけであって、まだそれらにどのように答えるのかというところが、答案ネタとしてまとまっていないからです。

近年は、受験者に対して次のような断りが問題の中に含まれています。

「なお、書かれた論文を評価する際、考察における視点の広さ、記述の明確さと論履的なつながり、そして論文全体のまとまりを特に重視する」

こうした特段の断り書きについては、答案作成にあたって最重要の配慮事項になります。

書き下した答案が、この断りに適合したものであることが、合格答案の必須条件になるので、留意が必要です。

しかも、それらの答案に示す解決方法は総合技術監理の観点から評価されて適切なものに仕上がっていなければなりません。
総合技術監理の観点からふさわしいというのは、平たくいうと、5つの管理の観点などからみて、誰しもが妥当だと考える判断、行動が記載されているか否か、ということです。

したがって、答案ネタをすべて網羅したストーリーを描いて、さらにこうした総監的なエッセンスも答案の中に織り込んで、しかもそれを論文の形式をとれるほどの構成に仕上げておかなくてはならないのです。
答案の記述作業に入るのは、これらの作業の後になります。
時間にすると、総合技術監理部門の記述式問題の午後の時間の3時間半の半分くらいは、こうした論文構成までの作業に充てる必要があるでしょう。
こうした総合技術監理部門の答案作成までの準備作業は、合格するためには、そのくらい大切な作業と言えるのです。

​2-4 手順4:答案の作成は、短文で、接続語を補う

以上のような作業を終えて、いよいよ答案の書き下しが始まります。
ここまでくると、通常、ある程度の時間を消費していることでしょう。
しかも、あなたの答案用紙は、まだ真っ白なままです。
あなたの周りの受験者は、ほとんどがすでに答案を数枚書き上げている・・・そんな状況です。

しかし、あなたはすでに合格レベルにある答案のネタと構成を作り上げています。
であれば、何も心配することもありません。
周りの受験生がいくら答案用紙を真っ黒に染め上げていたところで、それらが題意を得たものになっていなくては、得点は稼げないからです。
あなたに残された作業は、あなたのまとめた答案ネタと構成に忠実に答案ネタと構成を淡々と文章化するのみなのです。
この段階であなたが注意すべきなのは、採点者の目線で文章化していくことだけです。
言い換えると、あなたの用意した文章ネタがきちんと採点者に伝わるような、そんな読みやすい文章を書くように細心の注意を払う、ということです。
この文章作成のコツは、『聴く!技術士二次試験一発合格のツボ』で述べていることと何ら変わりはありません。
ポイントは、短文化、短文の構成、そして接続語の適切な使用。

これらを覚えておきましょう。