技術士二次試験 口頭試験のポイント
口頭試験は対処が難しいからこそ、そこで差がつく
あなたにとって、技術士二次試験の中で一番厄介なのは、意外にもこの口頭試験かもしれませんね。
というのは、私自身の経験を振り返っても、一番対処の難しかったのが、実は口頭試験だったからです。
筆記合格者の多くが合格するという実績はたしかにあります。
しかし、口頭試験というのは、技術的な質問に対して間髪いれずにキチンとした回答をしなければならないという、筆記試験とはまた別の緊張を伴うものです。
これまでに私もいろいろな方の技術士二次試験の口頭試験体験談を見たり、実際に模擬口頭試験におつきあいしたことがあります。
しかし、答えに詰まったり、緊張のあまり変な回答をしてしまったり、いろいろと大変な思いをされている方も多いようです。
だからといって
「もう、なるようになれ~!」
と投げやりになって無策丸腰で口頭試験に臨むというのは、一発合格を狙うあなたは決し
てしてはいけない決断です。
そうではなく、
『対処が難しい、だからこそ、そこで差がつく』
と逆転の発想で、あなただけは一工夫してみましょう。
そのひと手間なのですが、どういう工夫かというと・・・。
口頭試験のポイントは、あなたが本番で落ち着けるかどうか
実は、その技術士二次試験の口頭試験で一番のポイントは、とても単純なことなのです。
それは、
『あなたが本番の試験会場で落ち着けるかどうか』
この一言に収斂するのです。
だから、あなたが一発合格を達成するためには、ほかの受験者がしないような工夫を少し凝らして、口頭試験本番で落ち着ける状況さえにもっていければよいのです。
試験に限らず、人が落ち着きを得るための最高の方法は、場馴れすることです。
ですから、口頭試験の場を数多く体験して、あなたがそのような緊張を招く場所自体に慣れてしまえば、その他の受験者とは大きな差が生まれてくるのです。
しかし、あなたは
「口頭試験は毎年1回しかないんだから、場数など踏みようもないじゃないか!」
と思うかもしれませんね。
いいえ。それが、工夫次第でいくらでも場数を踏むことができるのです。
本番は確かに年一回しかありませんが、口頭試験のシチュエーションは、本番以外でも設定することは可能です。
では、どのようにシチュエーションをつくるのかというと・・・
模擬口頭試験は限界まで本番さながらの状況をつくりあげること
そのシチュエーションの作り方は、いたって簡単です。
あなたがあなた自身に対して口頭試験を行えばいいのです。
本番さながらの状況をあなた自身が作り出して、本番さながらの手厳しい質問を、あなた自身に対して投げかけてみるのです。
そして、本番同様、あなた自身がその質問に対して“まごついて”みるのです。
そう。これが、模擬口頭試験です。
あなた自身がセルフプロデュースする、本番さながらの予行演習なのです。
このとき、場所は実際の口頭試験と同じように、すこし小さ目な部屋の真ん中に椅子を置き、部屋の外から、ドアをノックして
「受験番号○○番 ○○○○です」
お辞儀をしたうえで、ドアを閉めて、わきの座席に鞄を置き、着席するのです。
ただし、部屋の中には、あなた以外に誰もいません。
完全にあなた一人で口頭試験をシミュレーションするのです。
そして、あなたがあらかじめ用意しておいた
「こんな質問、されたくないなぁ~」
というイジワルな質問ばかりを、所定の試験時間まで、自分自身に投げかけてみるのです。
試験官が厳しい表情、口調であなたに問いかけている姿をイメージしながら。
そして、シドロモドロになりながらも、その質問に端的に答えようと、時間までもがき苦しむのです。
この模擬口頭試験は本番さながらに行うものなので、当然、回答し直しは効きません。
そのシドロモドロも含めたすべてが口頭試験のあなたの評価に直結します。
ですから、あなたが回答にまごついてしまってリカバーができなかった場合、その回は不合格判定となります。
このような、口頭試験さながらの緊張感にまみれながら、数限りなく苦しんでみてください。
模擬口頭試験は録画、録音することで効果が倍増する
このとき、回答に苦しむのは問題ありませんが、決して表情には出さないでください。
そして、必ず次のポイントを意識しながら回答してください。
○質問のポイントを確実にとらえる
○そのポイントに対し、饒舌にならず、端的に答える
○フォーマルな場にふさわしい言葉遣い、振る舞いになるよう端々まで注意を払う
そして、ぜひ、それを録画、録音して、第三者目線で自分自身の回答ぶりをレビューしてみてください。
きっと、本番に向けて多くの反省点が見つかることと思います。
このような模擬口頭試験を、本番までに数十回となく繰り返し、場数を稼いでみてください。
したがって、このようなトレーニングを積んでいると、そのうち
「まごついても、まあ、なんとか、きっと回答できるだろう・・・」
という、悟りの境地に至れるはずです。
これこそ、本番であなたを合格へ導く“落ち着き”にほかなりません。
本番の会場では・・・、
ほとんどの受験生が自分の口頭試験直前まで、ソワソワしながら、ハラハラ、ドキドキしながら、手元のアンチョコをのぞき込んでいます。
とても不安そうな心境が手に取るようにわかります・・・。
なぜ、そのように不安がるのか。
それは簡単です。
口頭試験に対し、あなたほどの手間をかけていないからです。
しかし、あなたは手間を惜しまず、場数を踏んでいます。
きっと、そんな落ち着きのない姿勢は見せずに済むでしょう。
理想を語れる正義漢たること。これも技術士口頭試験対策の秘訣
あと、この口頭試験について、細かいアドバイスをお話しておきます。
まず、ハキハキ受け答えするのは言うまでもないことです。
口頭試験もコミュニケーションのひとつですから、相手の質問を自分が理解して、そして自分の考えを相手に伝えて、そして相手がそれを理解してはじめて成立するのです。
「立て板に水」の流暢さは全く必要ありませんが、早口、小声、割舌の悪さは当然論外です。
でも、それだけではなくて、きちんと相手の立場に立って、
“自分の言いたいことが言えているか”
ではなくて、
”自分の伝えたい事が伝わっているか”
に注意することが大切です。
先ほど述べたとおり、録音、録画すると、自分の口調が、聞き手、すなわち技術士試験の試験官からすると、あなた自身が感じているのとは全然違うことに気が付きます。
逆にいうと、録音、録画をしない限り、それはわからないでしょう。
技術士二次試験の合格の可能性を高める必要のあるあなたは、ぜひ実践してみてください。
また、口頭試験の前に行われる筆記試験のあなたの解答内容をよく反省しておき、記述が不十分だったところは、きちんと学びなおしておく必要もあります。
技術士としてふさわしく、きちんとフォローアップしているか、という観点からその部分を質問される可能性が高いのです。
このほか、口頭試験で質問されたことで、あなたがどうしてもわからないことは「分かりません」とはっきり答えてもかまいません。
ただし、その言い方に一工夫しましょう。
ただ単に「分かりません」だけで回答を終えてしまうのは、非常にもったいないことです。
○×クイズではないのですから、分からないなりに、代わりに何らかの代替情報を提供したほうが傷は浅いでしょう。
このほか、困っている表情を見せない、ということも大事です。
困った質問にも動じないだけのタフさをみせなければなりません。
さらに細かいことを言うと、座っているときの手の位置にも注意したほうがよいでしょう。
あまりぶらぶらさせていると、緊張していることが見え透けてしまいます。
また、技術ノートは何度も音読しておきましょう。単語を口にも馴染むようにしておく必要があるからです。
そして、理想を語れる正義漢たること。これも秘訣です。
試験官に良い印象を与える方法として、非常に有効です。
・・・というよりも、技術士試験云々以前に、人間としてとても重要なことです。
本講座は、あなたがそのような人であって欲しいと、心から期待します。